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SmTIAS-Evaluation / docs / 06_TEST / TEST_01_照明均一性評価報告書.md

照明均一性評価報告書 (Illumination Uniformity Evaluation Report)

評価概要 (Evaluation Overview)

  • 装置: SmTIAS(小型口腔内画像取得装置)
  • 撮影日: 2026-04-08
  • 評価対象: 白板画像 12 枚
  • 手法: SPEC_02_照明均一性評価アルゴリズム
  • 集計統計出力: バッチ解析時に output/results/summary_statistics.csv として自動出力される
  • 輝度変換: ITU-R BT.709(Y = 0.2126R + 0.7152G + 0.0722B)1
  • 均一性指標: CoV,標準偏差,最大/最小比
  • 空間分析: 3 ゾーン(center d<0.33 / middle / periphery d≥0.66)
  • ROI: x=539, y=1015, w=1400, h=1409

結果の要約 (Results Summary)

均一性指標 (Uniformity Metrics)

画像名平均輝度標準偏差CoV最大/最小比最大値最小値
SmTIAS_20260408_140317145.976.180.04231.387161.65116.52
SmTIAS_20260408_140342145.316.180.04251.375162.65118.30
SmTIAS_20260408_140408144.586.110.04231.493161.65108.30
SmTIAS_20260408_141805145.066.170.04261.417160.65113.37
SmTIAS_20260408_141900144.986.210.04281.422165.65116.52
SmTIAS_20260408_141945144.856.210.04291.440167.58116.37
SmTIAS_20260408_144434146.716.260.04261.392164.65118.30
SmTIAS_20260408_145011146.596.220.04241.371163.08118.94
SmTIAS_20260408_145320146.666.270.04271.374162.65118.37
SmTIAS_20260408_150524146.746.240.04251.412164.23116.30
SmTIAS_20260408_155530145.006.190.04271.358160.65118.30
SmTIAS_20260408_155541144.956.200.04281.381160.65116.30
統計量平均輝度標準偏差CoV最大/最小比最大値最小値
平均 (Mean)145.626.200.04261.402162.98116.32
画像間 SD0.810.040.00020.036
画像間 CV0.00560.00670.00440.0257
最小 (Min)144.586.110.04231.358160.65108.30
最大 (Max)146.746.270.04291.493167.58118.94
範囲 (Range)2.160.160.00060.1356.9310.64

空間分析指標 (Spatial Analysis Metrics)

画像名中心平均中間平均周辺平均中心/周辺比勾配量 (%)
SmTIAS_20260408_140317151.02146.97141.611.06646.23
SmTIAS_20260408_140342150.33146.31140.971.06646.23
SmTIAS_20260408_140408149.50145.57140.291.06566.16
SmTIAS_20260408_141805149.92146.07140.811.06476.08
SmTIAS_20260408_141900149.89146.00140.671.06556.15
SmTIAS_20260408_141945149.79145.85140.541.06586.17
SmTIAS_20260408_144434151.68147.70142.431.06506.10
SmTIAS_20260408_145011151.46147.58142.341.06416.02
SmTIAS_20260408_145320151.63147.65142.361.06516.11
SmTIAS_20260408_150524151.68147.73142.461.06476.08
SmTIAS_20260408_155530149.62146.02140.841.06235.86
SmTIAS_20260408_155541149.60145.96140.781.06275.90
統計量中心平均中間平均周辺平均中心/周辺比勾配量 (%)
平均 (Mean)150.51146.62141.341.06496.09
画像間 SD0.870.810.800.00120.11
画像間 CV0.00580.00550.00570.00120.0183
最小 (Min)149.50145.57140.291.06235.86
最大 (Max)151.68147.73142.461.06646.23
範囲 (Range)2.182.162.170.00410.37

代表画像の可視化 (Representative Visualization)

代表画像として SmTIAS_20260408_144434(中央値に近い値)を使用する.

図: 輝度マップ(SmTIAS_20260408_144434)

図: 輝度ヒストグラム(SmTIAS_20260408_144434)

図: 放射状輝度プロファイル(SmTIAS_20260408_144434)

図: ゾーンオーバーレイマップ(SmTIAS_20260408_144434)

再現性評価: SSIM (Reproducibility: SSIM)

12 枚の輝度マップに対するペアワイズ SSIM(全 66 ペア)の集計結果を以下に示す.

位置合わせなし SSIM (Raw SSIM)

統計量
平均 SSIM0.9112
最小 SSIM0.9092
最大 SSIM0.9134
標準偏差0.0012
ペア数66

位置合わせ後 SSIM (Registered SSIM)

統計量
平均 SSIM(位置合わせ後)0.9114
最小 SSIM(位置合わせ後)0.9095
最大 SSIM(位置合わせ後)0.9136
標準偏差(位置合わせ後)0.0012
ペア数66

シフト量統計 (Shift Magnitude Statistics)

統計量
平均シフト量(ピクセル)0.041
最大シフト量(ピクセル)0.082

考察 (Discussion)

均一性の水準評価 (Uniformity Level Assessment)

  • CoV が全画像で 0.0423–0.0429 の範囲にあり,0.05 を下回る
  • 照明工学の実務では CoV < 0.10 が許容範囲,CoV < 0.05 が良好とされる経験的基準が広く用いられている 3
  • 本評価結果は「良好」の水準に該当する
  • 標準偏差も 6.11–6.27 と安定しており,平均輝度に対して約 4% のばらつきに収まる

最大/最小比の解釈 (Max/Min Ratio Interpretation)

  • 全画像の最大/最小比は 1.358–1.493 の範囲
  • SmTIAS_20260408_140408 のみ 1.493 と他の画像より突出(最小値 108.30 が特異的に低い)
  • この画像を除くと範囲は 1.358–1.440 に収まり,局所的な異常の可能性がある
  • 最小値の低下は ROI 端部の影やセンサーノイズが原因と考えられる

中心-周辺勾配の特徴 (Center-Periphery Gradient Characteristics)

  • 全画像で中心 > 中間 > 周辺の単調減少パターンが確認された
  • 中心/周辺比は 1.0623–1.0664 で,中心が周辺より約 6.5% 明るい
  • 勾配量は 5.86–6.23% で,中心から周辺にかけて一貫した輝度減衰がある
  • これは典型的なビネッティング(周辺光量低下)パターンであり,以下が原因と推定される:
    • LED 光源の配置が中心方向に集中している(主因)
    • 筐体内壁の反射特性の不均一
    • レンズ系のコサイン 4 乗則による周辺光量低下の可能性 5(ただし Android カメラの ISP によるレンズシェーディング補正が適用されるため,寄与は限定的と考えられる)

再現性の評価 (Reproducibility Assessment)

画像間変動係数(CV = 標準偏差 / 平均,母集団標準偏差 ddof=0)に基づいた定量的な再現性評価を以下に示す 7

  • 平均輝度の CV が 0.0056(約 0.6%) → 撮影ごとの輝度レベルが極めて安定しており,高い再現性を示す
  • CoV の CV が 0.0044(約 0.4%) → 均一性評価指標自体の再現性も高く,評価結果が撮影条件に依存しにくいことを示す
  • 中心/周辺比の CV が 0.0012(約 0.1%) → 空間的な照明パターンが撮影間で非常に安定しており,ビネッティング特性が固定されていることを確認
  • 勾配量の CV が 0.0183(約 1.8%) → 他の指標と比べてやや大きいが,範囲は 0.37%(5.86–6.23%)に収まり,実用上は十分に安定している
  • 以上より,12 枚の撮影間で照明条件が極めて安定しており,SmTIAS の照明系は高い再現性を持つと結論する

SSIM による構造的再現性 (Structural Reproducibility via SSIM)

  • 位置合わせなしのペアワイズ SSIM の平均が 0.9112(標準偏差 0.0012)であり,全 66 ペアで SSIM > 0.90 を達成している
  • SPEC_02 の解釈基準(≥ 0.95 で「高い再現性」)には達していない
  • 位相相関法による位置合わせ後の SSIM は平均 0.9114 であり,位置合わせなし(0.9112)からの改善は +0.0002 とごくわずかである
  • 平均シフト量が 0.041 ピクセル(最大 0.082 ピクセル)と極めて小さく,スマートフォンの取り付け位置ずれは SSIM 低下の主因ではないことが判明した
  • SSIM が 0.91 にとどまる主因は,撮影ごとのセンサーノイズ・LED の微小な出力変動等,空間的に非系統的な要因と考えられる
  • 一方で,取り付け位置のずれがサブピクセル精度で安定していることは,SmTIAS の固定機構の精度が高いことを示す有意義な知見である
  • CV が要約統計量のばらつきのみを評価するのに対し,SSIM は画像全体の輝度・コントラスト・構造パターンの一致度を評価する
  • 両指標を併用することで,マクロレベル(CV)とピクセルレベル(SSIM)の再現性を相補的に確認できる
  • SSIM の標準偏差が 0.0012 と極めて小さく,全 66 ペアで SSIM が 0.909–0.914 の狭い範囲に収まっている点は,画像間の差異が系統的ではなくランダムノイズに支配されていることを裏付ける

SSIM 解釈基準の妥当性 (Validity of SSIM Interpretation Thresholds)

  • SPEC_02 の解釈基準(≥ 0.95 で「高い再現性」)は画像処理分野の一般的な目安であるが,実カメラで繰り返し撮影した画像に対しては過度に厳しい可能性がある
  • SSIM はピクセル単位の局所構造を比較するため,撮影ごとに不可避に変化するセンサーノイズの影響を強く受ける 9
  • CV が 0.4–0.6% と極めて低い値を示しているにもかかわらず SSIM が 0.91 にとどまるのは,SSIM がノイズ成分を「構造の差異」として捉えることに起因する
  • 本評価のように実カメラ撮影のセンサーノイズが支配的な条件下では,SSIM ≥ 0.90 かつ CV < 1% を「高い再現性」と解釈することが妥当と考えられる

改善提案 (Improvement Proposals)

拡散構造の最適化 (Diffuser Optimization)

  • 現状の約 6% の中心-周辺勾配を低減するため,拡散板の追加または変更を提案
  • 拡散板の厚みや材質を調整し,周辺方向への光の散乱を増加させる
  • 目標: 勾配量を 3% 以下に低減

光源配置の調整 (Light Source Arrangement)

  • LED の配置角度を外向きに調整し,中心への光の集中を緩和する
  • 追加の周辺 LED を配置し,周辺光量を直接的に補う

反射板の追加 (Reflector Addition)

  • 筐体内壁の反射率を向上させる反射板またはコーティングを追加
  • 内壁での反射光により周辺光量を補完する

ソフトウェア補正 (Software Correction)

  • 暫定対策として,フラットフィールド補正を提案 6
  • 白板画像の平均輝度マップを正規化し,撮影画像を除算することで照明ムラを補正
  • ハードウェア改善と併用可能

今後の課題 (Future Work)

  • TIAS(従来型口腔内画像取得装置)との照明均一性の比較評価(開発ステップ 3)
  • 長期間(日単位・週単位)にわたる経時安定性の評価
  • 動作温度の変化に対する照明特性の依存性評価
  • 異なるホワイトバランス・露出設定が均一性指標に与える影響の評価
  • 撮影距離(白板と開口部の距離)の変化に対する均一性の評価

参考文献 (References)

  • 1 ITU, "BT.709-6: Parameter values for the HDTV standards for production and international programme exchange," ITU-R, 2015.
  • 2 C. Poynton, Digital Video and HD: Algorithms and Interfaces, 2nd ed. Morgan Kaufmann, 2012.
  • 3 EN 12464-1:2021, "Light and lighting — Lighting of work places — Part 1: Indoor work places," CEN, 2021.
  • 4 ANSI/IES LM-79-24, "Approved Method: Optical and Electrical Measurements of Solid-State Lighting Products," IES, 2024.
  • 5 W. J. Smith, Modern Optical Engineering, 4th ed. McGraw-Hill, 2007.
  • 6 R. C. Gonzalez and R. E. Woods, Digital Image Processing, 4th ed. Pearson, 2018.
  • 7 ISO 5725-2:2025, "Accuracy (trueness and precision) of measurement methods and results — Part 2," ISO, 2025.
  • 8 G. F. Reed, F. Lynn, and B. D. Meade, "Use of Coefficient of Variation in Assessing Variability of Quantitative Assays," Clin. Diagn. Lab. Immunol., vol. 9, no. 6, pp. 1235–1239, 2002.
  • 9 Z. Wang, A. C. Bovik, H. R. Sheikh, and E. P. Simoncelli, "Image quality assessment: from error visibility to structural similarity," IEEE Trans. Image Process., vol. 13, no. 4, pp. 600–612, 2004. DOI: 10.1109/TIP.2003.819861
  • 10 H. Foroosh, J. B. Zerubia, and M. Berthod, "Extension of phase correlation to subpixel registration," IEEE Trans. Image Process., vol. 11, no. 3, pp. 188–200, 2002. DOI: 10.1109/83.988953