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SmTIAS-LightSim / docs / 06_TEST / TEST_18_照明配置依存性の球と立方体の比較.md

照明配置依存性の球と立方体の比較 (Placement Dependence: Sphere vs Cube)

TEST_16 で「軸上配置なら同内面積の立方体が球より均一」,TEST_17 で「側壁 1 点への オフ軸配置では球のほうが頑健」と分かった.本実験は「積分球が使われる理由は照明配置への 依存が小さいからではないか」というユーザーの仮説を,LED の位置(極角 θ を 0〜120° で 13 段階)・向き(3 通り)・個数(1〜4 灯) を系統的に振って検証した(2026-09-14). 仮説は成立した.球の配置依存は同内面積の立方体の 1/2〜1/3 で,立方体の優位は軸上の 1 点に限られる.一方,対向 2 灯以上の対称配置にすると形状差はほぼ消え,どちらも単灯軸上より 均一になる.校正材質(純 diffuse ρ=0.81)で主要条件を引き直しても(結果 7)この結論は変わらない. ※ 旧材質(光沢 5% の blendbsdf)では「球は軸上より θ≈30° が均一」に見えたが,これは光沢成分が 作る軸上のリング構造によるもので,校正材質では両形状とも軸上が最良になる.

関連:

背景・動機 (Motivation)

TEST_17 は側壁の 1 点(軸中点の高さ)だけを測ったので,「ずれ量に対する感度曲線」が 無く,向きや灯数の影響も不明だった.実機では LED の位置・向き・個数は基板やケースの 都合で決まるため,「どの配置でもそこそこ均一」=配置依存の小ささは筐体形状の実用上の 性能である.本実験はそれを 3 軸で定量し,球と立方体のどちらが配置に寛容かを決める.

実験条件 (Setup)

固定条件(材質 ρ=0.85 blendbsdf・spp=1024・max_depth=16・512²・評価板・LED 面積と 総光束・評価 YAML)は TEST_15〜17 と同一.球は similar_radial キャビティ. レンダは研究室サーバ Newton の cuda_ad_rgb(mitsuba 3.7.1).主実験 198 条件 + 追加実験 57 条件(結果 5・6).

同内面積ペア

ペア球 内径 φ mm立方体 内寸 L mm内面積 mm²
1200141120,607 / 119,880
2270187211,286 / 210,408
3340234328,508 / 329,130
4500340696,005 / 694,194

球のサイズは内径 φ で表す(TEST_15/17 の半径 r との対応: φ200=r100,φ270=r135,φ340=r170, φ500=r250.条件名・出力ディレクトリ名は内部識別子として sphere_r100 等の半径表記のまま).

LED 位置の定義(両形状共通)

キャビティ中心(球: 球中心,立方体: 立方体中心)から方向 (sinθ, 0, −cosθ) に伸ばした 半直線が内壁と交わる点に LED を置く.θ=0° が底の中心(=従来の軸上配置),90° が中心と 同じ高さの側壁,120° が評価板の直下(球は loft 接続の約 1° 下).立方体では θ<45° が 底面,θ>45° が側壁で,稜 45° はグリッドから外した.LED 円板は壁法線から発光方向へ傾け, 縁が壁を貫かない分だけ浮かせる(余裕 0.5mm を全条件で数値確認).

条件群

群条件数
A 位置θ = 0, 10, …, 40, 50, …, 120°(13 段階)× 1 灯・板中心向き・バッフル104
B 向きθ = 60/90/120° × {板中心向き+バッフル, 壁法線向き+バッフル, 真下向き(バッフル無し)}48(うち 24 は A と共通)
C 個数θ=90° の輪に N=1/2/3/4 灯を等方位(総光束を保存=radiance/N)+ N=4 を θ=60/120°40(うち 8 は A と共通)
D 再現性ペア 3・θ=90°・1 灯を seed を変えて 3 回再レンダ6
E 方位角(追加)θ=90°・1 灯・板中心向きで方位角 φ = 15/30/40°(立方体: 面の中央→稜寄り).球は φ=45° が対照,立方体 L=234 φ=90° は符号較正17
F 真下向き多灯(追加)真下向き(バッフル無し)N=2/4/8 灯を θ=90° の輪に,N=4 を θ=60° にも.比較用に板中心向き N=840

バッフルは TEST_17 と同じ数値サイジング(発光面の前方にある板の全点を隠す最小半径 ×1.05).板の近く(θ が大きい)や壁法線向きでは円板が壁を貫かざるを得ないので,本実験は 外殻の貫通を許容して食い込み量を記録した(外側に出た部分はキャビティ内から見えない). 真下向き(−Z)は板が発光面の背後になるので直接光がゼロでバッフル不要.遮蔽率は バッフル付き全条件で 55,473〜221,892 本 100%(cuda でレイキャスト).

均一性の指標

  • 構造 CoV: MC ノイズを差し引いた CoV(TEST_15 以降と同じ).
  • a1: 板軸フレームの m=1 方位フーリエ係数(正=LED 側が明るい.TEST_17 と同じ).
  • min(本実験で導入): 最大を 1 としたときの最小値=ノイズ補正付き最小/最大比 (evaluation/fullimage.py).σ=12 px のガウス平滑化後の min/max から,ノイズだけの場 (残差を空間シャッフルして同じ平滑化を掛けたもの)の極値を差し引く.画像全体で評価するので 同心円状でない分布でも正しく,対称な分布では従来の輪帯平均 min/max と ±0.01 以内で一致し, ノイズ床は ±0.004(軸上スイープ 20 条件で検証.scripts/build_fullimage_minmax.py). 従来の輪帯平均 min/max は方位方向に平均するため,オフ軸配置では非対称を見逃して 0.97〜0.99 に 張り付く(minmax_asymmetry.png.差と |a1| の相関 0.93〜0.95)ので本実験では使わない. 輝度マップパネル(maps/)の各マップに書いた min もこの値.

結果 1 — 位置依存: 球は立方体の 1/2〜1/3 (Position Dependence)

position_sensitivity.png.非対称は TEST_17 と同じ m=1 符号付き係数 a1(正=LED 側 (+X)が明るい)で,直交成分 b1 ≤0.33% がノイズ対照.

形状・サイズ構造 CoV 軸上θ 全域の平均最大(最悪 θ)幅 max−minmax|a1|min 軸上min 最良(θ)min 最悪(θ)min の幅
球 φ2000.03110.02440.0311(0°)0.01534.1%0.8660.922(40°)0.866(0°)0.056
球 φ2700.02310.01990.0321(110°)0.02294.1%0.9090.958(30°)0.886(110°)0.072
球 φ3400.01930.01640.0289(120°)0.02323.8%0.9310.978(30°)0.898(120°)0.080
球 φ5000.01450.01210.0244(120°)0.02023.1%0.9510.980(20°)0.905(120°)0.075
立方体 L=1410.02800.05130.0951(120°)0.06719.6%0.8870.887(0°)0.646(120°)0.240
立方体 L=1870.01780.04030.0888(120°)0.071011.2%0.9320.932(0°)0.732(120°)0.200
立方体 L=2340.01390.02930.0652(120°)0.05148.3%0.9480.948(0°)0.790(120°)0.158
立方体 L=3400.00960.01820.0348(120°)0.02524.5%0.9640.964(0°)0.875(120°)0.088
  • min でも同じ結論: θ 全域での min の幅は球 0.056〜0.080,立方体 0.088〜0.240(1.1〜4.3 倍). 最悪配置の min は球 0.87〜0.91 に対し立方体 0.65〜0.88.立方体は全サイズで軸上(θ=0)が最良で, 球は θ=20〜40° が最良(旧材質.結果 7 参照)

  • 配置依存の幅は立方体が球の 1.2〜3.1 倍,非対称の最大は 1.5〜2.7 倍.θ 全域の平均 構造 CoV も全ペアで立方体が悪い(1.5〜2.1 倍)

  • 立方体は θ とともに単調に悪化し,板の直下(θ=120°)で軸上の 3.4〜5.0 倍.底面上 (θ≤40°)でも a1 は既に −2〜−6% ある(平らな床に置いた LED は近い側壁を強く照らす)

  • 球は(旧材質では)軸上が最良ではない.θ=20〜40° で構造 CoV が最小(φ340: 0.0193 → 0.0057,φ500: 0.0145 → 0.0043)になり,軸上の同心円状のリング構造(TEST_15 のドーム)が 崩れて平坦になる.θ≥90° で軸上と同程度に戻り,最悪でも軸上の 1.0〜1.7 倍. ただしこのリング構造は旧材質の光沢成分が作るもので,校正材質では消える(結果 7)

  • 立方体の軸上の優位(TEST_16)は確認できる(ペア 2〜4 で球の 0.66〜0.77 倍)が, 軸上の 1 点だけであり,θ=10° でも立方体は a1 が −1.7〜−2.5% 出る

  • a1 の符号: 球は θ=10〜20°(r≥135)で 正(LED 側が明るい)になり,θ が大きくなると 負に転じる.小さな傾きでは LED に近い壁の一次照射が勝ち,傾きが増すと反対側の壁の 一次照射キャップ(TEST_11/17)が支配する,と解釈できる(未検証)

結果 2 — 向き: 真下向き(バッフル無し)は板向き+バッフルと同等 (Direction)

direction_comparison.png.θ=60/90/120° × 3 向き × 4 ペア × 2 形状.

  • 真下向き(−Z・バッフル無し)は板中心向き+バッフルと同等(構造 CoV の比 0.6〜1.3. 球の大サイズではむしろ良く,φ500・θ=120° で 0.0244 → 0.0138).生 mean も 5〜30% 明るい(バッフルが吸う分が無い).LED を板と反対側へ向けるだけで,バッフル無しで 板向きバッフル構成と同じ均一性が得られる
  • 壁法線向き(キャビティ中心向き)は最悪.構造 CoV は板向きの 2〜5 倍(立方体 L=141 で 0.19〜0.23).反対側の壁にできる一次照射キャップが板から正面に見えるうえ,それを 遮るバッフルが大きく(半径がキャビティ寸法の 5〜44%),キャビティ内に影を作る. 球 φ200・θ=120° の壁法線向きはバッフル半径が球の半径の 59% になり板への光がほぼ消えた (生 mean 0.000)ため無効条件として除外する
  • 向きの影響は形状差より大きい: 同じ位置でも向きで 2〜5 倍変わる
  • min で見ても同じ: ペア 3(φ340 / L=234)の θ=90° で板向き 0.933 / 0.897,真下向き 0.922 / 0.869, 壁法線向き 0.856 / 0.721.立方体 L=141 の壁法線向きは 0.47〜0.52 まで落ちる

結果 3 — 個数: 対向 2 灯以上で形状差は消える (Count)

count_comparison.png.θ=90° の輪に等方位・総光束一定.

形状・サイズN=1N=2N=3N=4参考: 軸上 1 灯
球 φ2000.03080.00840.00570.00590.0311
球 φ3400.02020.00530.00440.00430.0193
球 φ5000.01360.00540.00520.00540.0145
立方体 L=1410.05540.00980.02080.00890.0280
立方体 L=2340.03230.00490.00890.00470.0139
立方体 L=3400.02080.00670.00620.00640.0096

同じ条件の min(最大を 1 としたときの最小値):

形状・サイズN=1N=2N=3N=4参考: 軸上 1 灯
球 φ2000.8840.9610.9590.9670.866
球 φ3400.9330.9580.9760.9880.931
球 φ5000.9420.9750.9760.9790.951
立方体 L=1410.8220.9590.9260.9690.887
立方体 L=2340.8970.9780.9620.9740.948
立方体 L=3400.9050.9820.9430.9700.964
  • 対向 2 灯で m=1 は ≤0.3% に消え,構造 CoV は 1 灯の 1/4〜1/6.単灯軸上より均一 になる(球・立方体とも全サイズで)
  • N=4 でも N=2 とほぼ同じ.2 灯以上では球と立方体の差は 0.001〜0.004 に縮み, 最大サイズでは立方体が僅かに良い
  • N=3 は立方体で崩れる(|m1| 0.4〜2.4% 残る.3 回対称の配置が 4 回対称の壁と 噛み合わない)が球では問題ない(≤0.12%).立方体は灯数を壁の対称性に合わせる必要 がある
  • N=4 を θ=120°(板の直下)に置くと立方体は再び悪化する(L=141: 0.0089 → 0.0313)が 球は ≤0.008 に留まる.多灯でも位置の寛容さは球が上

結果 4 — ノイズフロア (Noise Floor)

seed を変えた 3 回の再レンダ(ペア 3・θ=90°・1 灯): 構造 CoV は球 0.0207±0.0007, 立方体 0.0326±0.0005,a1 は ±0.08%,min は球 0.933±0.007・立方体 0.891±0.007. 本実験で論じた差はすべてこの 10 倍以上(min は 5 倍以上). seed を変えずに再レンダしても指標は 4 桁まで一致する(画素はノイズ程度に変わるが 集計で消える)ため,再現性条件は render.seed を変えた YAML にした.

結果 5 — 方位角: 立方体は面の中央から稜へ寄せるほど悪化する (Azimuth)

azimuth_comparison.png.θ=90°・1 灯・板中心向きのまま,方位角 φ を面の中央(0°)から 稜寄り(40°.稜は 45°)へ振った.m=1 は LED の方位へ投影した符号付き成分 a1_led で見る (較正: φ=90° の投影 −4.10% が φ=0° の −4.10% と一致=投影の符号は正しい).

立方体φ=0°15°30°40°40°/0°
L=141 構造 CoV0.05540.06490.08550.09721.75
L=1870.04590.05070.05960.06541.42
L=2340.03230.03550.04210.04601.42
L=3400.02080.02210.02470.02771.33
L=141 a1_led−7.1%−7.7%−9.6%−11.2%
L=141 min0.8220.7340.6630.6290.77
L=187 min0.8500.8080.7660.7310.86
L=234 min0.8970.8470.8010.7970.89
L=340 min0.9050.9100.8960.8850.98
  • 立方体は面の中央が最良で,稜へ寄せるほど単調に悪化(構造 CoV で 1.3〜1.75 倍, 非対称で 1.3〜1.6 倍).稜の近くでは隣の面の一次照射も加わり,暗い側が広がる
  • 球の対照(φ=45°)は φ=0° と 2〜9% 以内で一致(軸対称.ずれは板の 99×102 の 非正方形分.min は 0.871〜0.948 で φ=0° と ±0.04 以内).位置依存に加えて「面のどこか」にも 依存するのが立方体(min は稜寄りで 0.63〜0.80 まで落ちる)

結果 6 — 真下向き多灯(バッフル無し)は成立するが板向き多灯には劣る (Downward Ring)

ring_comparison.png.真下向き(板が発光面の背後=バッフル無し)で N=2/4/8 灯を θ=90° の輪に等方位に置いた(立方体 N=8 は稜を避けて 22.5° ずらす).

構造 CoVN=1N=2N=4N=8板向き N=8(バッフル付き)単灯軸上
球 φ2000.02680.01180.01000.00930.00520.0311
球 φ3400.01830.01010.00780.00720.00450.0193
球 φ5000.01450.01180.01100.00920.00500.0145
立方体 L=1410.04940.02390.02200.01860.00760.0280
立方体 L=2340.03320.01060.00950.00750.00530.0139
立方体 L=3400.02420.01090.00980.00940.00660.0096

同じ条件の min:

minN=1N=2N=4N=8板向き N=8(バッフル付き)
球 φ2000.8890.9420.9560.9500.981
球 φ3400.9220.9580.9790.9700.978
球 φ5000.9020.9280.9290.9560.983
立方体 L=1410.8210.9120.9100.9150.972
立方体 L=2340.8690.9570.9540.9730.973
立方体 L=3400.9000.9410.9450.9530.977
  • 真下向きでも 2 灯以上で m=1 は ≤0.5% に消え,構造 CoV は 1 灯の 1/2〜1/4. 球は全サイズで単灯軸上より均一,立方体はペア 1〜3 で単灯軸上より均一・最大サイズで同等
  • ただし板向き+バッフルの多灯(0.004〜0.008)には 1.5〜2.5 倍劣る.真下向きは N を増やしても 0.007〜0.010(球)/0.008〜0.019(立方体)で頭打ちになる.一次照射が LED 側の壁の下半分に集中し,多灯にしても「下が明るく上(板側)が暗い」動径構造が 残るため(輪帯 min/max 0.91〜0.98 vs 板向き多灯 0.97〜0.99)
  • 生 mean は真下向きが板向きより 5〜35% 明るく,N によらず一定(総光束保存)
  • 小さい立方体(L=141)は真下向きだと N=8 でも 0.019 と悪い.壁際で下を向いた LED が 床の隅を強く照らすため

結果 7 — 校正材質(純 diffuse ρ=0.81)でも結論は変わらない (Calibrated Material)

TEST_14 で確定した内壁材質(純 diffuse ρ=0.81.旧材質は blendbsdf ρ=0.85・光沢 5%)で 主要 60 条件(位置スイープをペア 1・3,多灯 N=2/4・真下向きをペア 3)を引き直した (output/led_placement_sweep_rho081/).

位置スイープ(θ 全域)旧材質 → 校正材質
球 φ200: 軸上 / 平均 / 幅 / max|a1|0.0311 / 0.0244 / 0.0153 / 4.1% → 0.0117 / 0.0267 / 0.0296 / 5.7%
球 φ3400.0193 / 0.0164 / 0.0232 / 3.8% → 0.0039 / 0.0172 / 0.0298 / 4.5%
立方体 L=1410.0280 / 0.0513 / 0.0671 / 9.6% → 0.0199 / 0.0522 / 0.0975 / 11.3%
立方体 L=2340.0139 / 0.0293 / 0.0514 / 8.3% → 0.0056 / 0.0294 / 0.0773 / 10.8%

同じ条件の min(軸上 / θ=30° / θ=90° / θ=120° / θ 全域の幅):

位置スイープ旧材質 → 校正材質
球 φ2000.866 / 0.907 / 0.884 / 0.907 / 0.056 → 0.940 / 0.923 / 0.864 / 0.866 / 0.085
球 φ3400.931 / 0.978 / 0.933 / 0.898 / 0.080 → 0.987 / 0.968 / 0.913 / 0.884 / 0.103
立方体 L=1410.887 / 0.849 / 0.822 / 0.646 / 0.240 → 0.913 / 0.862 / 0.797 / 0.593 / 0.320
立方体 L=2340.948 / 0.925 / 0.897 / 0.790 / 0.158 → 0.980 / 0.952 / 0.866 / 0.751 / 0.230

多灯(ペア 3・θ=90°)の min: 板向き N=2 は球 0.958 → 0.970・立方体 0.978 → 0.970,N=4 は 球 0.988 → 0.988・立方体 0.974 → 0.981,真下向き N=4 は球 0.979 → 0.979・立方体 0.954 → 0.958.

  • 配置依存の幅は球 0.030 vs 立方体 0.077〜0.098(2.6〜3.3 倍),max|a1| は 4.5〜5.7% vs 10.8〜11.3%(2〜2.4 倍)で,球の優位はむしろ広がる(ρ が下がり多重反射の混合が弱まる分, 立方体の劣化が大きい)
  • 軸上の構造 CoV は両形状で大きく下がる(球 φ340: 0.0193 → 0.0039,立方体 L=234: 0.0139 → 0.0056).旧材質の軸上にあったリング構造は光沢 5% の roughconductor 成分が作って いたもので,純 diffuse では消える.その結果,校正材質では両形状とも軸上が最良になり, 球の「θ≈30° が最良」は消える(φ340: θ=0° 0.0039 → 30° 0.0075 → 90° 0.0250). オフ軸の悪化は球のほうが緩やか(θ=90° で軸上の 6 倍 vs 立方体 7 倍,絶対値で 0.025 vs 0.039)
  • 多灯は材質に依らない: 対向 2 灯・4 灯(板向き)は球 0.0057/0.0039,立方体 0.0055/0.0053, 真下向き 4 灯は球 0.0079・立方体 0.0116 と旧材質と同じ水準
  • 生 mean は ρ の低下で約 30% 暗くなる(絶対輝度は校正材質の値を使うこと)

結論 (Conclusions)

  • 仮説成立: 照明位置への依存は球が同内面積の立方体の 1/2〜1/3(校正材質では 1/2.6〜1/3.3). 球は「どこに置いてもそこそこ」,立方体は軸上の 1 点だけが良く,板に近づくほど急激に悪化する. 旧材質で見えた「球は θ≈30° が軸上より均一」は光沢成分によるもので,校正材質では両形状とも 軸上が最良
  • 向き: 板と反対(真下)に向ければバッフル無しで板向きバッフル構成と同等. キャビティ中心へ向ける(壁法線向き)のは最悪
  • 個数: 対向 2 灯以上の対称配置で形状差は消え,どちらも単灯軸上より均一.立方体は 灯数を 2 か 4 にする(3 は不可)
  • 方位角(追加): 立方体は面の中央が最良で稜へ寄せるほど 1.3〜1.75 倍悪化.球は方位に依らない
  • 真下向き多灯(追加): バッフル無しでも 2 灯以上で非対称は消え単灯軸上より均一になるが, 板向き+バッフルの多灯には 1.5〜2.5 倍劣り,N を増やしても頭打ち
  • 設計への含意: 単灯なら球.多灯にできるなら「側壁の対向 2〜4 灯・板向き・各灯にバッフル」が 最良で形状差も消える.バッフルを省きたいなら「真下向き 2〜4 灯」が次善(球なら 0.008〜0.012, 中〜大の立方体なら 0.010〜0.013).立方体なら灯数は 2 か 4 で面の中央に置く

限界・注意点 (Limitations)

  • 方位角は結果 5 で θ=90° の 1 灯だけ測った.N=3 の方位依存・θ を変えた方位依存は未測定
  • 壁法線向きのバッフルはキャビティ寸法の 5〜44% と大きく,実物の設計として妥当かは別問題 (結果は「その向きに置くと大きなバッフルが要る」ことも含めた評価)
  • 主実験は旧材質(ρ=0.85 blendbsdf).校正材質での引き直しは主要 60 条件のみ(結果 7). 絶対輝度の実機予測には校正材質の値を使う
  • 真下向きの球 θ=60° は発光面の半分が壁を向く(発光方向と壁法線が 120°).物理的には 「壁際に伏せた LED」で成立するが,実装の都合で選んだ向きである

失敗パターン・方法論の学び (Pitfalls and Methodology)

  • 同一 seed の再レンダはノイズフロアにならない.シーンを読み直しても集計指標は 4 桁 まで一致した.ノイズフロアを測るなら render.seed を変える(本実験で schema に追加)
  • 遮蔽検証は cuda で回す.YAML の llvm のまま呼ぶと球で 1 条件 25 秒かかり, スイープの主犯だった(runner.ensure_variant で先に variant を確定してから呼ぶ)
  • バッフルの上限を設けること.壁法線向きで LED が板に近いと,板を掠める直接光を 遮る円板がキャビティ寸法の半分を超え,条件として無意味になる(半径 0.6×寸法で打ち切り, 0.3 超は図に † を付けた)
  • 立方体の θ は稜(45°)を避ける.半直線が稜に当たると法線が定義できず LED 円板が 両壁に掛かる

次にやること (Next Steps)

  1. a1 の符号反転(球 θ=10〜20°)の機構の確認(一次照射キャップの位置)
  2. 校正材質での全条件の引き直し(主要 60 条件では結論不変を確認済み.向き・方位角・N=8 は未)
  3. 直方体 L×L×D(深さだけ変える)と天井を平らにした球(TEST_17 の宿題)
  4. 真下向き多灯の頭打ちを解く配置(LED を少し上向き/板側の壁の反射率を上げる等)

再現コマンド (Reproduction)

# 幾何生成のみ(3D 配置確認用)
uv run python scripts/sweep_led_placement.py --prepare-only
uv run python scripts/show_scene_cutaway.py --scene configs/_tmp_led_placement/scene_cube_L234_th090_board_n4.yaml \
    --output output/led_placement_sweep/_placement_check/cutaway_cube_L234_th090_board_n4.png

# スイープ本体(研究室サーバ・GPU 1 枚・2 並列.1 条件 5〜6 秒)
# 校正材質で主要条件だけ: ... -- python scripts/sweep_led_placement.py --material calibrated --key-subset --workers 2
#   → uv run sm-remote pull led_placement_sweep_rho081 → build_led_placement_comparison.py --material calibrated
uv run sm-remote push
uv run sm-remote run --name place --gpu 0 --threads 16 -- python scripts/sweep_led_placement.py --workers 2
uv run sm-remote pull led_placement_sweep

# 解析図 + 集約表
uv run python scripts/build_led_placement_comparison.py

出力: output/led_placement_sweep/(条件別 255 ディレクトリ + summary.csv + analysis.csv + position_summary.csv + position_sensitivity.png / position_maps.png / direction_comparison.png / count_comparison.png / azimuth_comparison.png / ring_comparison.png).レンダ前 3D 確認は _placement_check/cutaway_*.png(代表 23 条件).

参照 (References)