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SmTIAS-LightSim / docs / 06_TEST / TEST_03_輝度マップ形状追跡.md

輝度マップ形状追跡 (Luminance Map Shape Tracking)

数値指標 (CoV / 勾配 / C/P) は分布のばらつきを集約する量であり,「形そのもの」は捕えない.本ドキュメントはシミュレーション結果と実機の 輝度マップ形状を画像で並べ,改善 Step ごとに形がどう変わったか/変わっていないかを追跡する.

関連:

なぜ「形」を別軸で追跡するのか (Motivation)

均一性の数値指標(CoV,勾配 %,中心/周辺比)は 分布の集約値 であり,空間的なピーク位置・対称性・勾配方向 といった「形の特徴」を区別できない.例えば:

  • 実機: ROI 中央付近にピークを持つ楕円状の分布 → C/P ≈ 1.065
  • シミュ: ROI 下端にピークを持つ Y 軸単調勾配 → C/P ≈ 1.328

両者は 形が全く違うが,どちらも「C/P 比という数値」だけで議論すると同じ尺度上に並んでしまう.シミュレーションを実機に近づけるには数値だけでなく形の一致も必要.

比較パネル (Comparison Panel)

輝度マップ形状の追跡: 実機 (TARGET) と Step 8-1 / 8-3 / 8-7 の比較

生成スクリプト: scripts/build_luminance_evolution_panel.py.各画像は個別正規化(min-max を独立に取る)で並べているため,色スケールは画像ごとに異なる.これは「形の異同」を強調するためであり,絶対値の比較は metrics.csv で行うこと.

観察された事実 (Observations)

実機 vs シミュ全 Step を並べて見て判明したこと:

パネル形の特徴
実機 (TARGET)ROI 中央〜下に明るい楕円状の大きな領域.左右にほぼ対称.カメラ系の異方性(光学系の周辺減光 + ISP LSC 補正残差)に支配される典型パターン
Step 8-1 (出発点,linear)ROI 下端のみ明るく,上端に向かって単調に減衰する Y 軸単調勾配.LED 配置の物理的事実(下基板が Y=-70.2 のみで上対応の基板なし)を素直に反映
Step 8-3 (OETF 適用後,sRGB)数値指標は半減(CoV 0.183 → 0.091)したが,輝度マップの形は出発点と区別がつかない.OETF はピクセル値の単調変換で相対順序を変えないため形は構造的に不変
Step 8-7 (発光面 size 1.5×1.5,linear)絶対値スケールは 2.83× 上昇したが,形は出発点と同じ Y 軸単調勾配.形状指標がほぼ不変だったことと整合

学び (Findings)

1. 数値の縮小 ≠ 形の改善

Step 8-3 OETF は「指標数値の符号化ドメイン不一致」を解消したのみで,シミュの形は実機の形に近づいていない.OETF は単調変換であり,ピクセル間の相対順序を保つため形は不変.

2. これまでの全 7 改善ステップは「形を変えない変更」だった

Step種別形への影響
8-1 spp 校正MC ノイズ低減(線形平均化)形不変
8-2 反射率スイープ線形ゲイン + 一様な多重反射スケール形ほぼ不変
8-3 OETF 順方向適用単調変換(非線形だが順序保存)形不変
8-4 max_depth 検証多重反射の打ち切り位置(一様寄与)形ほぼ不変
8-5 3D 可視化改善表示側の変更(物理計算には不介入)形不変
8-6 LED 物性確定線形ゲイン(radiance 値の校正)形不変
8-7 発光面サイズ検証局所幾何との縮退(絶対値変化)+ 点光源近似形不変

これらはすべて 線形ゲイン・単調変換・局所幾何依存のいずれか であり,「ピクセル間の空間構造」を変える物理を含まない.

3. 実機の形 = シミュの形 + 動径補正

実機の輝度マップ形状(中央付近にピークを持つ楕円状)は,

実機の形 = シミュの Y 軸勾配(LED 配置由来) + カメラ系の動径補正(LSC 残差)

として説明可能.シミュ側にこの 動径補正 を加えない限り,形を実機に合わせることはできない.

LSC モデル化の意義 (再認識) (Significance of LSC Modeling)

TEST_01 Step 8-N 候補(LSC 順方向モデル) は,単に「指標残差 1.6〜1.9× を縮める」だけでなく,「シミュの空間勾配パターンに動径補正を重ね,実機の中央ピーク形状を作る」根本的な構造的改善 である.

LSC は ROI 中心からの距離に依存する動径ゲインで,

  • 周辺を持ち上げる(実機 ISP の補正と同じ符号)
  • ROI 中央を相対的に明るく見せる
  • シミュの Y 軸勾配と合成すると「中央寄りピーク」の形が現れる

→ 以後の改善判断はこの 2 軸(数値 + 形)で行う.数値残差だけ追っていると「形は変わっていない」改善で満足してしまう恐れがある.

再現コマンド (Reproduction)

uv run python scripts/build_luminance_evolution_panel.py

出力先: docs/06_TEST/figures/luminance_map_evolution.png(.gitignore 対象.再生成可能)

新規 Step を追加する場合

scripts/build_luminance_evolution_panel.py の PANELS リストに 1 エントリ追加するだけで自動でパネルに並ぶ:

PANELS = [
    # 既存エントリ ...
    {
        "image": ROOT / "output" / "<new_step_dir>" / "figures" / "luminance_map.png",
        "title": "Step 8-N: <description>",
        "subtitle": "<scene/eval setting>",
        "metrics_csv": ROOT / "output" / "<new_step_dir>" / "metrics.csv",
    },
]

追加後はパネルを再生成し,本ドキュメントの「観察された事実」表に 1 行追加する.

参照 (References)