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SmTIAS-Evaluation / docs / 06_TEST / TEST_05_後側ロフトw1p4実機評価報告書.md

後側ロフト w=1.4 筐体 実機評価報告書 (Rear Housing Loft w=1.4 Field Evaluation)

概要 (Overview)

後側筐体のみをロフトパラメータ 1.4 版(SmTIAS-LightSim configs/meshes/後側_w1p4.stl)で再印刷・交換した SmTIAS 001 について,白板撮影による照明評価を実施した.従来筐体の後側ロフトパラメータは 0.5 であり,本評価は後側ロフト w=0.5(従来)→ w=1.4(再印刷)の変更に対する実機比較である.評価は(1)全灯点灯の均一性(従来筐体 w=0.5 の正規ターゲットとの比較=SmTIAS-LightSim TEST_10 シミュレーション予測の実機検証),(2)下・左・右の単灯切り分け(TEST_04 と同条件の再評価),(3)全灯実測 vs 単灯加算(下+左+右)(TEST_04 限界節で挙げた線形加算仮説の定量検証)の 3 本立てである.

結論を先に述べると,

  1. 全灯の均一性・形はほぼ従来筐体(w=0.5)と同等(CoV 0.0695 → 0.0617 とむしろ微改善)であり,TEST_10 のシミュ予測「全灯の均一性・形はほぼ不変」と整合した.全体光量は +13%(画素比 w1.4/w0.5 の中央値 1.131)で,増光は像面上側の暗部で最大(+15〜17%)・中心明部で最小(+9%)と暗部を選択的に持ち上げる分布だった.
  2. 単灯の明るさ順は 下 > 左 > 右 となり,従来筐体 w=0.5(TEST_04: 右 > 左 > 下)から逆転した.
  3. 全灯実測は単灯加算とよく一致し(実測/加算の平均比 1.031,CoV は両者 0.062 で同一),照明がほぼ線形加算で合成されることを実測で確認した.

前提・対象データ (Scope and Samples)

条件データ撮影日時
全灯(白板に汚れあり)SmTIAS_QM_20260726_1834162026-07-26 18:34
全灯(白板清掃後)SmTIAS_QM_20260727_1242572026-07-27 12:42
下のみ点灯SmTIAS_QM_20260727_1341052026-07-27 13:41
左のみ点灯SmTIAS_QM_20260727_1348532026-07-27 13:48
右のみ点灯SmTIAS_QM_20260727_1401292026-07-27 14:01
比較対象: 従来筐体 w=0.5・全灯(正規ターゲット)SmTIAS_QM_20260601_1245002026-06-01 12:45
比較対象: 従来筐体 w=0.5・単灯(下/左/右,TEST_04)SmTIAS_QM_20260615_{141420, 150300, 170948}2026-06-15
項目内容
機種 / モードSH-02M / 定量モード(RAW_SENSOR,AE/AWB OFF,ISO 40,露光 1/120 s)
ハード変更点後側筐体のみロフト 1.4 版に交換(従来筐体の後側ロフトは 0.5).下側フレア部が外側へ最大約 10 mm 膨張・キャビティ体積 +6.3%.LED 基板・評価板側の形状は不変.前側筐体・LED カバー・評価板・LED は従来品
評価領域 (ROI)config/roi_config.json の smtias.whiteboard(x=539, y=1015, 1400×1409,全枚共通)
評価条件linear(output_color=raw)/ portrait / LSC 順適用(従来ターゲットと同一手順)

前提(本評価の限界): 単灯 3 枚は遮光作業を挟んだ別撮影である.また下のみ点灯(134105)は ROI 下端(y≈1391〜1408,x≈68〜611)に遮光テープが写り込み,最小輝度 8.33・max/min 比 11.48 と min 依存指標が無効化されている(TEST_04 初回右のみと同型の失敗).写り込み行を除外(y<1370)した参考値は mean 81.41・CoV 0.0576・max/min 1.560.CoV・中心/周辺比など面平均系の指標への影響は軽微(写り込みは ROI 面積の約 0.14%).

結果 (Results)

1. 全灯均一性 — 従来筐体 w=0.5 との比較(TEST_10 実機検証)

指標従来 w=0.5 (0601_124500)w1p4・汚れあり (0726_183416)w1p4・清掃後 (0727_124257)
平均輝度207.82226.53234.78
標準偏差14.4514.4714.48
CoV0.06950.06390.0617
最大/最小比1.61661.59551.5925
中心/周辺比1.09111.10591.0855
勾配 (%)8.359.587.87
動径 min/max 比0.86000.84000.8550

(太字=3 条件中もっとも良好な値)

  • 清掃後の w1p4 は CoV・max/min 比・中心/周辺比・勾配の全てで従来筐体と同等以上.動径 min/max 比のみ僅差で従来が上回るが差は 0.005.
  • 標準偏差は 3 条件でほぼ同一(14.45〜14.48)であり,CoV の改善は主に平均輝度の上昇(+13%)による.キャビティ体積 +6.3% に伴う内面反射の寄与増と,撮影セッション間の光量差の両方が考えられる.
  • シミュ予測(CoV 0.1717 → 0.1701,ほぼ不変)に対し,実機は 0.0695 → 0.0617(−11%).絶対値はシミュと実機で水準が異なるが,「悪化しない・形が変わらない」という予測の向きは実機でも支持された.
  • 画素ごとの比 w1.4/w0.5(compare_loft_housings_all.png 右上): 中央値 1.131・p5, p95 = 1.090, 1.172.増光は一様でなく,**像面上側の暗部で最大(+15〜17%)・中心明部で最小(+9%)**という空間分布を持つ.暗部が選択的に持ち上がることが CoV 微改善(0.0695 → 0.0617)の実体である.
  • 白板清掃の効果: 汚れあり → 清掃後で CoV 0.0639 → 0.0617.汚れあり版の輝度マップに見られた左中段(x≈100〜170,y≈750〜800)の暗点 2 つは清掃後に消失しており,白板の汚れと確認された.

2. 単灯切り分け(w1p4)— 従来筐体 w=0.5(TEST_04)との比較

指標下のみ左のみ右のみ
平均輝度81.2175.1971.33
CoV0.0649(除外時 0.0576)0.06150.0822
最大/最小比(11.477)※ 除外時 1.5601.6751.796
中心/周辺比1.1161.1061.118
勾配 (%)10.439.5610.58
動径 min/max 比0.8290.8480.828

(※ 下のみは遮光テープ写り込みにより min 依存指標が無効.「除外時」は写り込み行除外の参考値.太字=3 灯中もっとも良好な値)

  • 明るさ順は 下 (81.2) > 左 (75.2) > 右 (71.3).従来筐体 w=0.5 の TEST_04(右 63.6 > 左 61.5 > 下 57.8)から順位が逆転し,従来最弱だった下灯が最強になった.筐体別 2×3 並置は compare_loft_housings_singles.png を参照.
  • 単灯の平均輝度は TEST_04 比で全灯とも大幅増(下 +41%・左 +22%・右 +12%).変形が下側フレア部(下灯側の空間拡大)であることと,下灯の増分が最大であることは整合的である.ただし TEST_04 とは撮影日・遮光作業・白板状態が異なるため,筐体効果と条件差の切り分けは今後の課題.
  • 均一性は左が最良・右が最劣(CoV 0.0822)となり,TEST_04(右が最良)から傾向が変わった.
  • 各灯が異なる方向を照らす相補配置は従来同様に維持されている(比較図参照:下=像面中央〜上側を広く,左=像面右寄り,右=像面右下寄り).

3. 全灯実測 vs 単灯加算(線形加算仮説の検証)

指標実測(全灯)加算(下+左+右)
平均輝度234.78227.73
CoV0.06170.0617
最大/最小比1.5931.857※
中心/周辺比1.0851.113
勾配 (%)7.8710.19
動径 min/max 比0.8550.840
実測/加算 比平均 1.031・中央値 1.031・p5, p95 = 0.994, 1.065—

(※ 加算マップは下のみ点灯の写り込みを含むため max/min 比は無効)

  • 実測 ≈ 加算が成立: 画素ごとの実測/加算比は平均 1.031,90% の画素が 0.994〜1.065 に収まる.CoV は両者 0.062 で一致し,「3 灯の相補で合成均一性が成立する」仮説(TEST_04)は定量的に支持された.
  • 系統的な残差: 比マップは中心部で僅かに 1 未満(≈0.96〜0.98)・周辺部で 1 超(≈1.03〜1.06)と緩やかな空間構造を持つ.全体 +3.1% のオフセットは,単灯撮影時の黒テープが(遮光した灯の LED カバー面での)内面反射も奪うこと,およびセッション内の光量ドリフトで説明できる範囲と考える.周辺で実測が相対的に明るいことは,実測の動径 min/max 比(0.855)が加算(0.840)より良い=実灯合成は単純加算よりさらに均一という結果に対応する.

比較図・出力一覧

  • 筐体比較・全灯(w0.5 vs w1.4,比マップ付き): output/smtias/figures/compare_loft_housings_all.png
  • 筐体比較・単灯(w0.5 vs w1.4,2×3 並置): output/smtias/figures/compare_loft_housings_singles.png
  • 単灯 3 枚比較(w1p4 のみ,共通絶対カラースケール): output/smtias/figures/compare_single_leds_w1p4.png
  • 全灯実測 vs 単灯加算(比マップ付き): output/smtias/figures/compare_composite_vs_sum_w1p4.png
  • 各撮影の個別出力(輝度マップ / ヒストグラム / 動径プロファイル / ゾーンマップ / CSV): output/smtias/{figures,results}/SmTIAS_QM_2026072*_*

考察 (Analysis)

1. ロフト 0.5 → 1.4 変形は全灯均一性を損なわない(TEST_10 の実機検証成立)

CoV・max/min 比・中心/周辺比・勾配のいずれも従来筐体 w=0.5 と同等〜微改善であり,シミュ予測「均一性・形はほぼ不変」は実機で再現された.後側筐体の下側フレア部を最大 10 mm 膨張させても照明性能上の副作用はなく,むしろ光量 +13% は像面上側の暗部に厚く配分され(比マップ),均一性を僅かに押し上げた.

2. 単灯バランスの逆転は下側キャビティ拡大と整合的

従来最弱だった下灯が最強(+41%)へ転じ,増分は下 > 左 > 右 の順で変形部位(下側)に近いほど大きい.これはキャビティ拡大による下灯光路の開放・内面反射増という筐体効果として説明可能である.一方で TEST_04 とは撮影条件が完全同一でないため,断定には従来筐体での同日再測が必要である.

3. 線形加算モデルの成立 — 設計ツールとしての含意

実測 ≈ 単灯加算(±3〜6%)が確認されたことで,単灯マップの加算による合成予測が実用精度で成り立つ.今後の LED 配置・光量バランス検討は,全灯撮影を繰り返さずに単灯データの重み付き加算で机上検討できる.また灯別の劣化診断(単灯撮影 → 加算予測と全灯実測の乖離監視)にも応用できる.

結論 (Conclusion)

  1. 後側ロフト w=0.5(従来)→ w=1.4 で全灯均一性は同等以上(CoV 0.0695 → 0.0617・光量 +13%)となり,SmTIAS-LightSim TEST_10 のシミュ予測は実機検証された.
  2. 単灯の明るさ順は下 > 左 > 右に逆転し,変形部位(下側)に近い灯ほど明るさが増した.筐体効果として整合的だが,条件差の切り分けは残課題.
  3. 全灯実測 ≈ 単灯加算(平均比 1.031・CoV 一致)が成立し,3 灯相補による合成均一性の仮説(TEST_04)を定量的に裏付けた.

限界と今後 (Limitations & Future Work)

  • 下のみ点灯(134105)は ROI 内に遮光テープが写り込み,min 依存指標が無効(面平均系は有効).撮影時にフレーム外で遮光する運用(TEST_04 で提起済み)が再度徹底されなかった.単灯撮影の遮光手順を SPEC_03 に明文化することを推奨する.
  • 単灯バランス逆転(下 > 左 > 右)の要因切り分けには,従来筐体に戻した同日・同手順の単灯再測が必要.
  • 従来筐体ターゲットは暗闇撮影,本評価の撮影環境の外乱光条件は未記録.TEST_03 の知見では定量モードは外乱光の影響を受けにくいが,厳密比較には撮影環境の統一が望ましい.
  • 実測/加算比の空間構造(中心 <1・周辺 >1)の要因(遮光テープによる内面反射の喪失か,光量ドリフトか)は未分離.単灯撮影の順序を変えた再測や,遮光なし・カバー面反射条件の比較で切り分けられる.

参照 (References)

  • TEST_04 単灯照明比較評価報告書
  • TEST_03 外乱光影響評価報告書
  • SmTIAS-LightSim docs/06_TEST/TEST_10_後側ロフト変形w1p4実験.md(シミュレーション側の記録)
  • SPEC_03 TIAS 白板撮影プロトコル
  • 評価実装: scripts/run_uniformity_dng.py(個別指標算出)/scripts/compare_single_leds.py(3 単灯比較図,CLI 対応)/scripts/compare_composite_vs_sum.py(全灯実測 vs 単灯加算,新規)/scripts/compare_loft_housings.py(筐体 w0.5 vs w1.4 の全灯・単灯直接比較,新規)
  • 対象データ: data/smtias/quantitative/(gitignore 対象)